13_学危
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第81ご理解いただきたいと思う気持ちが裏目に出る 章1 学校現場からよくある相談の中に、「どうやってもご理解いただけないのですが、どうしたらいいでしょうか?」というものがある。 しかし、案件の中身を聞いてみると、「それって相手方にご理解いただかなければいけないのでしょうか?」と答えたくなるものが意外と多い。相手方の承諾を得るための交渉の場と、学校の考えを理解していただくための説明の場の区別が苦手といっても良い。 もちろん、学校としては、保護者や地域の皆様に、学校の教育方針や活動について理解してもらえればありがたいし、子どもたちへの教育を考えても、保護者・地域と連携することの価値は高い。その意味で、ご理解いただくための努力をする価値が高いことは間違いない。 しかし、理解してもらえるかどうかは、学校の努力でコントロールできるとは限らない。なぜなら、理解してもらうために学校側でできることは、きちんと説明することまでであり、そのきちんとした説明に理解を示すかどうかは、相手方次第だからである。 だから学校は、きちんと言葉を選んで説明する以上のことはできない。そして、その説明を受けた後、これを聞き入れるかどうかは相手方の問題であるから、理解してもらえない場合に、ある程度の努力を継続しても無理なときはやるべきことはやったと考えて良い。法律的にいえば、説明義務はあっても、説得義務はないのであって、説得できなかったことに学校側で悩んでも仕方がないのである。 それにもかかわらず、無理に理解してもらうために試行錯誤し、あ学校における法律問題の現状と課題第第22■■■■■■■■■■~相手方の説得も納得も義務ではない

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