1スキルの問題だけではない。仕組みも問題 前述のように、学校は、相手方に理解してもらいたい気持ちが強い上に、議論が平行線になることを避ける傾向があるため、クレーム対処はもともと得意ではない。 とは言え、クレーム対処は避けて通れない課題であるし、学校現場特有の問題以前に、事態を軽視しての失言や、その場しのぎの言い訳が後々の炎上につながったりしている例も、しばしば見るので、教職員個々人のクレーム対処のスキルアップは必要である。 ただその一方で、現場のスキルアップだけで解決できる問題ばかりでもない。学校がクレームを受ける仕組みからくる課題もある。 一般に、クレームの対処には、そのクレームの原因となった出来事の当事者と決裁権のあるリーダー(トップ)は、不向きである。これに対し、学校では、トラブルの現場を担当していた学級担任や部活の顧問と校長がこれにあたる。学校のクレームは、このクレーム対処に向かない両者に対応を委ねることが多いのである。章1 学校が悩むべきは、あくまで自分たちの選択とその選択した理由の説明がきちんとしたものであるかどうか(説明義務を履行したといえるかどうか)であって、きちんとした説明を理解してもらえない場合には、学校としてやるべきことはやったと考えてよいのである。第学校における法律問題の現状と課題10第第33■■■■■■■■■■■■■■■
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