13_学危
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iii 初版の出版から1年が経過した。この間、いじめ防止対策推進法の施行を受けて、教育現場に新たな対応が求められるようになった。法の趣旨について十分な説明も受けないままに、行政をも巻き込んだ現場の混乱が見受けられる。そういった時期に、本書の改訂のお話をいただき、教育現場に向けた提言をする機会を得たことをありがたく思っている。改訂といっても研修教材にも使えるように、あまり大部のものにならないようにしようとしたのであるが、思いのほか分量が増えた。そのため、初版では重複をおそれずに叙述した危機管理やクレーム対応の部分については、大幅に削除した。初版をお持ちの方は、そのままお手元に残していただければと思う次第である。 今回の改訂では、第1章に「いじめ防止対策推進法への対応と課題」として、同法律に対応するに当たってのポイントを整理した。同法律が施行されてまだ間もないが、対応の準備が遅れている学校がある一方、過敏になりすぎている学校も見受けられる。本書が、現場の先生方の一助となればと思う。また巻末に、いじめ防止基本方針やアンケートなど、同法律の義務づけにかかる資料も掲載したので、こちらも参考にしてほしい。 いまだに続く、いじめや体罰に関する事件報道の中、社会や保護者は教育の現場をどのように見ているのか、不安に思うところもないではない。しかし、私の知る限り、ほとんどの教育現場では学校長から各教職員に至るまで、皆、一生懸命に教育に取り組み、また行き詰まり、どうしたらよいかひたすらに悩んでいるという印象を受ける。そうでありながら、いま、社会の流れが、教職員の教育活動を、より萎縮させる方向に向いているようで、大変残念に思う。 学校で生活する子どもたちを元気にするには、まず学校で子どもた改訂版 はしがき改訂版 はしがき

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