はしがきxiほしいという考えのもとに恥ずかしながら筆を執ったのである。 筆者の知るところでは、弁護士、公証人のみならず、司法書士、税理士、行政書士をはじめ多くの方々が、研究会や研修会等を開催するなどして、信託制度を学び、これを必要な人にアドバイスし、さらには創造する担い手として活躍し始めている。 本書では、このような方々の役に立てばと考え、活用する上で特に参考になると思われる文例を多く掲載している。もちろん、紹介している参考文例については、相談例そのものではなく、登場人物など信託関係人や信託財産などを一般向きに変えるなどしてはいるが、できる限り実務に沿ったもの、そして特異なスキームにならないよう工夫し載せている。しかし、文例は、あくまでも参考のための私案であり、実際の信託の設定に当たっては、参考文例がそのまま使える事例などはない。必ず、信託の目的(委託者の考え)、信託財産、受益者の生活環境や置かれている立場、それとライフプラン、そして課税問題等を考えてスキームを組み立てカスタムメイドする必要がある。そこのところをまずは注意願いたい。 ところで、本書を出版することができたのは、公益財団法人公益法人協会の星田寛先生のご指導とご助言による賜物である。星田先生からは、その実務経験から受託者の立場に立った信託をも考えるべきであるとのご教示を受け、まさに目から鱗であった。また、新井誠教授の著書や講演等には教えられることが多く、本書をまとめる大きな足がかりとなった。さらに、税理士の浅川典子先生、同じく税理士の菅野真美先生には税務の関係で多くの事柄を教えていただき、心から感謝の意を表したい。 平成25年8月著 者
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