全訂 新しい家族信託 (試し読み)
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ivても利用方法の見直しを図り、成年後見制度、さらには遺言制度のそれぞれの欠点(𨻶間)を確実に信託の仕組みで補い、かつ強固に埋め合わせる必要が出ていると考えたのである。 さらに敷衍する。私は、家族のための信託を企画制作(プロデュース)するには、信託法制のほかに、相続遺言制度、成年後見制度、それに税制度を理解していることが不可欠であると再三申し上げてきたが、その中の成年後見制度について、その相談業務を行い、また実務の研究に携わってきたことで、次のことが分かってきた。 現在の成年後見制度の実務は、上記のように「本人の最善の利益を確保する」という役割に目を向けず、しかも大事な資産の承継制度である遺言制度をないがしろにしているように思えてならない。例えば、被後見人の大事な不動産などが遺言の対象となっていたとしても、成年後見人が安易に換価処分するなどし、遺言者の思いである遺言内容を実現できなくしていることが挙げられる。また、後見制度支援信託制度による金融資産の信託財産化もその一つである。しかも、成年後見人による安易な財産の換価処分が、遺言者の思いだけでなく、税務の専門家による大切な「相続対策」を完全に無視し台無しにしてしまっていることもある。 遺言が成年後見制度との関係で脆弱な制度となってしまっているならば、信託も信託契約中心にシフトを変える必要があること、そして成年後見制度の中でも後見制度支援信託を中心に動き出している法定後見制度と一線を画して、任意後見制度を一層重要視して幅広く活用してもらうために、家族信託と可能な限り併用する必要があることなど、さまざまな視点から初版本の見直しを図る必要があると考えたのである。 私は、平成27年4月、10年間勤務した公証人を退官し、同月に家族信託を冠した法律事務所を開設するとともに、株式会社野村資産承新訂にあたって

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