v継研究所の研究理事に就任して家族信託の法務と税務の研究を始めた。ここでの研究により、公証人時代には挑戦できなかった、信託受益権の複層化を取り入れた相続対策を目指した信託が見えてきたのである。それは、同研究所における研究員との信託税務の研究や、新たに知り得た税理士等の先生方との信託勉強会のおかげである。そこで、今回の改訂にあたり、これらの信託受益権の複層化の仕組みなどを取り入れた相続対策のための信託も紹介することにした。もちろん、弁護士業務の中で、これらの仕組みを取り入れた信託設定の仕事も始まっている。 このようなことから、本書では、相続人によって遺留分が請求できなくなる相続対策の2文例を含め、空き家問題解決支援信託など新たに4文例を追加するとともに、親なき後支援信託をはじめ、幾つかの文例を遺言信託から任意後見契約とリンクさせた信託契約に変更するなどの大幅な改訂を加えた。そこで、私の思いも含め「改訂」とせず「新訂」とさせていただいた次第である。 平成28年3月新訂にあたって著 者
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