⑴ 当事者関係 弁護士は代理人や弁護人として,訴訟に関与します。刑事事件では,検察官が起訴した被告人の弁護にあたるのですが,民事事件の場合は,原告の代理人となって訴訟を提起する,被告の代理人となって応訴する,参加人の代理人となり既に進行している訴訟に加わるなど,様々な形で関わります。 特に,訴えを提起するにあたり,事務職員は弁護士から訴訟提起のための資料の収集の指示を受けることがあります。1)住民票の写し,戸籍記載事項証明書 訴状には,当事者の氏名・名称・住所を記載します(民訴133条2項1号,民訴規2条1項1号)。一般的には,「戸籍記載事項証明書(戸籍謄本)」や「住民票の写し」で氏名と現住所を確認します。住所はできるだけ新しい住民票の写しなどで確認しておく方がよいでしょう。過去の住所地に訴状等が送達されると,「訴状訂正申立書(当事者の住所の訂正)」や「再送達上申書」の提出などの手間が増えることになります。 弁護士の場合,戸籍記載事項証明書(戸籍謄本)や住民票の写しは,「職務上請求」という手続で請求するのが一般的です。専用の請求用紙に必要事項を記入して,管轄の役所(市区町村役場)に請求します。 職務上請求は,弁護士の名前で行うので,請求用紙への記載内容については,十分に注意を払わなければなりません。2)法人の資格を証する書面 依頼者または相手方が法人で,法人が原告(債権者)・被告(債務者)となる場合,「資格を証する書面(資格証明書)」が必要となります。多くの場合は,法人登記の「履歴事項全部証明書」や「現在事項全部証明書」を利用したり,「代表者事項証明書」を利用します。 株式会社や医療法人・学校法人等のように,法律によって権利義務の主体となりうる存在である団体,端的に言えば,自然人(人間)以外で法律によって「人」とされている団体が「法人」です。第Ⅱ章 民事訴訟と提出書類24
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