18_法裁
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273)委任状 弁護士が依頼を受けて訴訟を提起する,または被告となった人の代理人として応訴するには,代理権を書面で証明しなければなりませんので(民訴規23条1項),それを証する書面として「委任状」が必要となります。 法律事務所では定型の委任状が多く使われています。「委任者」とは依頼者を指し,受任者となる弁護士の氏名,事務所住所等を記載します。依頼者が法人(株式会社,財団法人,医療法人など)の場合は,主たる事務所の所在地と法人名,代表者名(代表取締役,代表理事など)を記載し,法人印を押印します。所在地と法人名,代表者名は記名(社判)などを使用するのが一般的でしょう。 委任者(依頼者)が未成年者の場合は,親権者である両親または父母の一方か未成年後見人が法定代理人となります。 委任状の内容は,委任者(依頼者)の住所・氏名,受任者(弁護士)の事務所所在地,電話・ファックス番号,弁護士名,事件の内容(相手方・官署・事件の表示),委任事項で構成されるのが一般的な形式です。 訴訟委任では,委任を受けた弁護士は,委任を受けた事件について,反訴,訴訟参加,強制執行,仮差押えおよび仮処分に関する訴訟行為をし,かつ,弁済を受領することができますが(民訴55条1項),個別の委任がなければ委任の範囲に入らないものもあります。これを「特別委任事項」といいます(民訴55条2項)。具体的には,反訴の提起(民訴55条2項1号),訴えの取下げ,和解,請求の放棄・認諾(民訴55条2項2号),控訴・上告の申立てまたは取下げ(民訴55条2項3号)などがあります。1 提訴のための事前の資料収集

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