本書では,面会交流に関する裁判例について公表されたものは網羅的に登載されているので,面会交流調停や審判に関する実務に携わられる方々の参考文献として役だてていただけるのではないかと期待している。本書が面会交流に関する実務の運用に少しでも貢献でき,これによって「子の最善の利益の確保」が図られ,子どもの幸せのために寄与することができれば,それに優る喜びはない。 本書の出版に当たっては,平成25年3月から始めた調停委員や弁護士等との調停研究会「T・Kアカデミー」の会員の皆さんの絶大なる協力をいただいた。主要な裁判例について,事案の骨子・事案の概要・審判内容・抗告審決定内容等をA4の1枚にまとめ,それに基づいて全員で徹底的に議論してまとめていただいた。内容に関する全責任は筆者にあるが,「あとがき」で紹介した会員の皆さんの意見には素晴らしいものがある。 また,本書が早期の出版にこぎつけられたのは,日本加除出版の真壁耕作企画部長をはじめ,主任として関与していただいた山口礼奈さん,補助者として関与いただいた朝比奈耕平さんの絶大なる編集作業の努力の成果であって,お礼の言葉もない。ことに山口さんには本書が処女作になったわけで,それにしては細心の注意を注がれたことは敬服するばかりである。 なお,今回も各章の初めと終わりに,花の絵のカットを入れさせていただいた,これも妻梶村慶子が,もう40年近くにもなる北海道北見時代の北の国の花を思い浮かべて描いてくれたものである。北見の調停委員だった方々の何人かとは,今でも家族ぐるみで交際している。昨秋に訪れた那覇地裁の勤務時代にも思いをはせながら,日本の国の広さと狭さを今改めて実感している。日本の調停制度の一層の発展を祈らずにはいられない。 平成25年9月vi 旧版 はしがき〔編注〕本書第2版は,旧版と構成が異なります。梶 村 太 市
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