【1】【2】沼邊審判(離婚後再婚事案) 17有しない親は,未成熟子と面接ないし交渉する権利を有し,この権利は,未成熟子の福祉を害することがない限り,制限されまたは奪われることはないものと考える。」とした。 そして,「この権利は,監護そのものではないが,監護に関連のある権利というべきであり,この面接交渉権行使のため必要な事項は,正に民法第766条第1項による監護について必要な事項と解されるから,離婚に際し親権もしくは監護権を有しないことになった親は,未成熟子との面接交渉権行使に必要な事項につき他方の親権もしくは監護権を有する親との協議で定めることができ,その協議が調わないとき,またはできないときは,家庭裁判所がこれを定めるべきものであり,また家庭裁判所は,離婚後子の利益のため必要があると認めるときは,未成熟子との面接交渉権行使に必要な事項について相当な処分を民法第766条第2項による監護に関する処分として命ずることができると解すべきである。」とした。 本件では,昭和38年11月に成立した申立人母と相手方父との離婚調停の際に非親権者となる申立人母は親権者となる相手方父に離婚後事件本人たる長男と面接させるよう申し入れたところ,相手方父はこれを了承したが,その際両当事者間では面接の回数,日時,場所などについての協議はなされず,この協議は後日に持ち越され,その後昭和39年7月頃申立人母が代理人を通じて相手方父に対し長男との面接に関する協議を申し入れたが相手方父はこれに応ぜず,協議が調わなかったことを認めることができる。したがって,裁判所は,家事審判法9条1項乙類4号[現・家事法39条,別表第二3項],民法766条2項により,申立人母と長男との面接に関する事項について審判権を有することは明らかである。 ところで,相手方父は現在長男は相手方父の監護のもとで幸福に暮らしており,長男を申立人母と面接させることは,長男の心を動揺させることになり,また申立人母は長男との面接にかこつけて相手方夫婦親子の平和な家庭生活に干渉し,これを妨害しようとする意図を有しており,いずれにせよ,長男の福祉を害することになるから,長男を申立人母に面接させるべきではないと主張している(相手方父に対しては審判の際に呼び出し陳述の機会を与えたが,
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