【1】【2】沼邊審判(離婚後再婚事案) 21事情で実母の手を離れ他の者の親権および監護権に服している場合には,親権および監護権の行使との関係で制約を受けることはこれを認めた法制上当然のことといわなければならない。」 本件では,事件本人長男は父母の離婚という不幸な境遇のもとにありながらも抗告人父と後妻の努力により現在の家庭生活によく適応し平和な生活を送っているものというべく,かかる状況下にある長男に相手方が母として面会することになれば,父が危惧するように,父と後妻との葛藤の渦中に長男を巻き込み平和な家庭生活に波乱を起こさせることになるのは必定であって,かくては長男の純真な童心を傷つけ,精神面における健全な成長を阻害させる危険が十分にある。 「我が子に会いたいという相手方〔母〕の一途な気持も十分理解し得るし同情も禁じ得ないのではあるが,2年前の離婚の際抗告人〔父〕に事件本人〔長男〕の監護を託した限りは,抗告人〔父〕の親権および監護権を尊重し,事件本人〔長男〕が成人して自ら条理を弁えるようになるまでそれとの面接を避け,蔭から事件本人の健全な成育を祈っていることが,事件本人〔長男〕を幸せにすることになるものと判断される。事件本人〔長男〕のことが気にかかるときは人を通じてその様子を聞くなり,密かに事件本人〔長男〕の姿を垣間見て,その見聞した生長振りに満足すべきである。自己の感情のままに行動することはそれが母性愛に出ずるものであってもかえって子を不幸にすることがある。子のために自己の感情を抑制すべきときはこれを抑制するのが母としての子に対する真の愛というべきである。」 「以上により当裁判所は,相手方〔母〕が事件本人〔長男〕に面接することはその方法,回数のいかんを問わず現在の段階では事件本人〔長男〕の利益にならないものと考えこれを許可しないのが相当であると判断するものである。」とした。
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