11_面審
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はしがき  i 本書は,平成25年9月に出版した『裁判例からみた面会交流調停・審判の実務』の新版である。旧版から7年を経過し,その間,裁判例は新たに36件が加わり総計129件となった。しかも,面会交流に関する裁判例や実務が大きな変化に直面することになった。旧版で批判した面会交流の原則的実施論に基づく実務の運用の弊害が徐々に現実化し,その見直しが迫られた。高裁段階では,裁判例【115】,同【118】,同【124】,同【127】などにおいて,原則的実施論見直しの機運が生じた。さらに東京家裁を中心とした面会交流の調停・審判実務において,令和2年6月に至り,画期的な方針の見直しが行われ,第4章の5(374頁以下)に記載するとおり,従来の原則的実施論に基づく実務運用を転換し,「新運用モデル」を公表した。 従来の原則的実施論に基づく実務の運用によって,一方では同居親に対する十分な配慮を欠いた調停運営が行われ,他方では別居親からは調停運営での面会交流の内容が貧弱であるとの批判を招いたので,調停運用モデルの見直しが必要だとして,新モデルを公表したというのである。本新版は,その運用モデルの見直しを是とするものであるが,まだ見直しは十分でないので,更に令和時代にふさわしい「新新運用モデル」の創設を期待するものである。それは,「新運用モデル」がなお固執するところの,「子の利益」を否定する事情がなければ面会交流を肯定する手法,すなわち「子の利益に反するか否か」を判断基準とするという手法から,「子の利益」を肯定する事情がなければ面会交流を否定するという手法,すなわち「子の利益に合致するかどうか」を判断基準とするという手法への方向転換に対する期待である。 分かりやすく言えば,民法766条1項では,「父母が協議上の離婚をするときは,……父又は母と子との面会及びその他の交流……について必要な事項は,その協議で定める。この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定し,これは同法771条によって裁判離婚・調停離婚にも準用されているのであるから,父母との面会交流を認めるための要件として「子の利益を最も優先して考慮し」た結果であることを要するといはしがき

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