会その他の交流」(面会交流),「子の監護に要する費用の分担」(監護費用=養育費の分担),「その他子の監護について必要な事項」(子の引渡など)を明文で規定した。家裁実務上は,事件名として「子の監護に関する処分(面会交流)」などと表示する場合が多い。 本書で紹介する面会交流裁判例は,上記の離婚前・離婚時・離婚後に決められる本来の審判(家裁)・決定例(抗告審=高裁)事件が中心であるが,面会交流の実施等が争点となった親権者・監護者変更事件,子の引渡請求事件のほか,審判前の保全処分等・間接強制事件・外国人絡みあるいは日本人同士でも住所等が外国絡みの渉外事件,慰謝料請求(損害賠償請求)事件など面会交流に関係する全ての裁判例を網羅している。 上記において離婚時というのは,説明を要するだろう。まず協議離婚をする場合,協議離婚届には面会交流の取決めをしたかどうかをチェックする欄が設けられたことは,本文(第4章4⑾)で解説するとおりである。これが民法766条1項にいう離婚協議時の取決めである。上記民法766条の改正で,その協議離婚の場合における「子の監護に関する処分」の取決めの際に「子の最善の利益の考慮」が必要と明記された。 次に,離婚調停の場合における面会交流紛争がある。離婚調停の場合には,①紛争はそもそも離婚するかどうか(離婚原因の有無),②親権者・監護者紛争(親権者指定や面会交流・養育費などの附帯処分)と,③財産給付紛争(財産分与・慰謝料)が主たる争点となるが,最近では少子化傾向を反映して②の紛争が多発化している。審判離婚や和解離婚・離婚判決の附帯処分も同様である。いずれにせよ,ここでの面会交流は本書の対象外である。 これに対し,本書に掲げられている離婚時の事例2件は,あくまでも審判事件であるから,親権者を決めないで調停離婚したために,解決が先送りされた親権者指定事件である。離婚と親権者指定の同時解決の原則の例外として許される親権者指定に伴う面会交流紛争である。なお,第三者間の事件3件は実父と養父母間の事件であり,実母と祖父母間の事件である。民法766条に規定する監護者には第三者も含まれるので,これも対象となる。 さて,民法766条に規定する面会交流の許否は「子の利益を最も優先してiv 旧版 はしがき
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