□現民法行724法︶条前段損害及び加害者を知った時□の意事故発生日平成16年1月6日訴え提起日平成20年3月10日第132□義 第1民法724条前段(現行法)/2□損害及び加害者を知った時□の意義から,取締役の責任に民法724条を適用すべき実質的論拠はなく,したがって,同条を商法266条の3第1項前段に基づく第三者の取締役に対する損害賠償請求権に類推適用する余地もない。□最判昭和48年11月16日(民集27巻10号1374頁)□民法724条にいう□加害者ヲ知リタル時□とは,同条で時効の起算点に関する特則を設けた趣旨に鑑みれば,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当であり,被害者が不法行為の当時加害者の住所氏名を的確に知らず,しかも当時の状況においてこれに対する賠償請求権を行□することが事実上不可能な場合においては,その状況が止み,被害者が加害者の住所氏名を確認したとき,初めて□加害者ヲ知リタル時□にあたるものというべきである。これを本件についてみるに,原審の確定したところによれば,被上告人は,昭和17年初め頃軍機保護法違反の容疑で逮捕され,大泊警察署に留置されて取調中,同年4月15日夜から翌16日未明にかけて本件不法行為による被害を受けたが,その当時加害者である上告人が□A□なる姓の同署警部補であることおよびその容貌を知ってはいたものの,その□A□の名と住所は知らず,逮捕後引き続き身柄拘束のまま取調,起訴,有罪の裁判およびその執行を受け,昭和20年9月4日頃終戦後の混乱の収まらない状況の中においてようやく釈放されたものであって,その釈放前は勿論釈放後も,加害者である上告人の所在および名を知ることが困難であったところ,その後加害者の探索に努めた結果,昭和23年頃に至り加害者が秋田県内に居るらしいことを,また昭和26年頃その名が□A□なることを知るに至り,札幌法務局人権擁護部に照会して,昭和36年11月8日頃,上告人が秋田県本荘市から東京に移転したとの回答を受けたので,□に調査の結果,その頃東京における住所を突きとめ,加害者本人に間違いないことを知ったというのであって,被上告人は,この時に加害者を知ったものというべく,それから3年以内である昭和37年3月7日に本訴を提起したものであるから,上告人主張の消滅時効は未だ完成していないとした原審の判断は,正当である。原判決に所論の違法はなく,論旨は,採用することができない。□(参□判例)東京地判平成21年3月30日(判例秘書L06430250)□⑵ところで,原告は,自動車保険契約に基づき,Aに対し,保険金を支払ったことによって,商法662条により,Aが加害者に対して有する損害賠償請求権を取得することになるが,原告が加害者に対して有する権利は上記損害賠償請求権と性質を異にするものではない。そして,不法行為による損害賠償請求権について規定した民法724条における□加害者を知った時□とは,□加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況のもとに,その可能な程度にこれを知った時を意味するもの
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