法農
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57担保を検討するとき、まず土地などの不動産を考慮しますが、農地は評価額が低いため、抵当権の設定対象物件としてあまり活用されてきませんでした。また、農業者は一般の人よりも、土地は先祖代々の受け継ぎ物であると考える傾向が強いため、評価額にかかわらず土地を担保に提供することや売買をすることはあまり好まれませんでした。担保提供や売買をすることが少なかったため、相続が発生した時なども相続登記をせずにそのままにしておくケースが多く、いざ土地に抵当権を設定しようとした時には相続登記を入れるために莫大な手間と費用が掛かる状況になっていて、担保として活用できないケースも散見されます。江戸時代から相続登記を入れていないという例も農地についてはたまに見られます。一つの問題として、相続による所有権移転登記がなされていないことによる土地の固定化ということを挙げることができます。農林水産省としては、農地の集約化をより積極的に推進したいということから、農地のみの特例を作り解決すると考えた時期もあったようですが、公平性の観点から農地だけを優遇することもできませんでした。平成30年より始まった一連の所有者不明土地に対する法改正により、一般土地と並行して、相続が未了であったり、所有者が不明である農地についても、利用権設⑴ 不動産担保1.農業における担保設定第3章 農地などの有効活用、時効取得・仮登記

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