法農
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58定という方法を用いて利用することが可能となりました。現在は最大40年間の利用権を設定することができ農業を行うについては支障の無い期間の利用権設定が可能となっています。ただ所有権が移転するわけではないので、抵当権の設定などはできません。近年、民間の金融機関も積極的に農業者に対して融資を始めており、農地を担保にするケースも増えています。所有権移転ができない弊害を農業者側も認識し始めています。農地の評価額について議論があります。農地はそもそも農業を守るという政策的な観点から評価額が低く抑えられています。農業は他産業に比べ広い土地を使用するため、農地の所有権移転を制限して、所有者が農業を行うということが前提とされ、その上で農業者の税負担を低く抑える仕組みになっています。しかし、あまりに評価額が低いため、近傍地のその他の地目の所有者に大きな不公平感を生み出しています。また、評価額が低すぎるため、売買や賃貸の対象にもならなくなり農地の流動性を阻害する一要因にもなっています。太陽光発電システムが普及する中、動産担保に注目が集まっています。農業においても動産担保の利用が広がっています。例えば和牛の肥育農家などは、一頭の和牛の卸売価格が100万円になることもあり、単純に考えれば100頭で1億円の在庫となります。それを担保として活用することができれば、資金調達は非常にスムーズとなります。以前は疫病などで全頭が死滅してしまうリスクなどから、金融機関は生物に対する担保には消極的でした。しかし、そのようなケースでは保険や補償で大部分カバーされることも多く、なにより金融機関自体が農業に対して積極的になってきたことと、国が動産担保を積極的に推進していることもあり、生物に対する担保設定は増えています。ただ、動産譲渡登記は法人しか行えないため、現状ではまだ農業において動産譲渡登記が急増しているという状況にはありません。具体的な担保対象物件としては、ブランド和牛や黒豚などのその他ブランド家畜、農業で⑵ 動産担保

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