法農
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―税法関連―115個人の農業者が法人化する上で重要なことは何を目的として法人化を目指すのかということです。個人事業の場合は税務上、事業主が死亡すれば廃業となり、後継者が経営資産を相続により引き継ぎ、事業承継するのが一般的です。しかしながら、遺言書等によりスムーズに経営資産の引継が行われた場合は問題ないかもしれませんが、事業を承継しない他の相続人に資産が分散してしまった場合などは、事業規模の縮小や賃借料の支払による資金繰りの悪化が懸念されます。ある意味、個人事業とはその個人による事業であり、事業主が商売を辞めたといえばそれまでとなるため事業の継続性、安定経営に不安が残ります。経営主体を法人とする理由の一つに、対外的な信用力の向上が挙げられます。会社法においても事業を商行為とすることが明文化されております。また、中小企業会計要領等の一定の会計ルールに基づいた決算書を作成することにより個人事業に比べ、財務状況が明確化され経営分析が行いやすくなります。労働者の雇用に関しても、社会保険加入などによる福利厚生の充実、法人格による信用力などから個人事業よりも優秀な人材が集めやすくなると考えられます。社会保険料は保険料の約2分の1を法人が負担するため、加入による経費コストは増加しますが、前記のとおり、雇用の確保、将来の年金受給額の増1.税務面から考慮する農業法人設立の意義第5章 法人化の支援 2

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