法農
42/64

134す重要になります。そのためにも労務管理は重要とされます。次に、適正な労務管理を行うために必要な基本的な知識について紹介します。農林水産省のデータによると、個人経営体の世帯員である基幹的農業従事者は、令和2(2020)年は136万人で、65歳以上の階層は全体の70%(94万9千人)を占める一方、49歳以下の若年層の割合は11%(14万7千人)となっています。農業では、まだまだ高齢化が進行中です。担い手も少ないことから、耕作放棄地は年々増えていきます。そのような状況の中でも、積極的な農業政策の効果もあり、農業への就職を希望している若者は年々微増ながらも増えてきています。そこには、代々受け継いだ家業の農業に就農する者から、農業を成長分野と考えビジネス展開をしようとする新規就農者まで様々です。しかし、いつの時代でも安定を求める傾向も強くあり、農業分野に足を踏み入れた後、理想と現実のギャップに悩む人も多いようです。特に正社員として農業分野に入った人たちにとってみれば、安定を求めてやっとの思いで正社員雇用されたのに、経営自体が不安定で頼りないものであったということも少なからずあるようです。正社員での雇用においては、長期継続的に雇用されるということが前提になっています。事業主側から見ると、いったん雇用すれば、生半可な理由での解雇は難しく、労働者保護が手厚い現在においては、不当解雇として訴えられる可能性も低いとは言えません。そこで事業主においても、生産性と売り上げの向上を図るなどして、経営の安定を図り、人材定着を盤石なものにしなければなりません。農業は繁閑の差がみられることが多い産業です。特に深雪地域などでは、作物の栽培方法によっては農業で収入を見込まれない時期もあります。そう⑵ 正社員雇用の必要性と雇用における注意点

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る