法農
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165本書では、農家が法人化して経営を発展させていくことを一つのモデルとして述べています。承継に関しても法人における承継を述べる方が本書の趣旨には合っているのでしょうが、農業においては、法人の承継より個人農家の承継の方がより複雑となっています。法人における後継者への事業承継については、手続面から言えば「社長の立場」と「株式」を後継者へ譲ることにより完結します。株式を異動する際の税金は検討事項ですが、個人と比較すると至ってシンプルです。したがって、あえて本章では、主に個人農家の承継について記述します。農業経営の承継は一般的にいくつかの承継プロセスを経て経営承継が完了します。経営承継を成功に導くためには現経営者の価値観、就農後の歴史、農業に対する考え方や信条といった理念を明確にし、後継者へ自身の想いを伝えていくことが重要です。家族経営の場合で考えると、まず後継者を選定し、教育するところから始まり、生産技術や技能の継承、部分的な作業の分担、経営権の委譲、経営者能力の継承、経営資産の継承などが続きます。この経営資産の継承は、家族経営の場合には相続によって行われることが多いのですが、法定相続分による遺産分割を行った場合などは経営資産が農業相続人以外へ分散し、農業経営に悪影響を及ぼす可能性があります。1.農業の経営承継とは第7章 農業の承継に関する支援 (主に税務面から)

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