法農
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―6次産業化―189農業の現状は、栽培作物によって大きく違いはありますが、全般的には、大部分が高い関税と補助金に守られて成り立っていると言えます。言い換えれば現在の農業はあまり利益の上がらない産業となっているというのが実情です。例えば稲作を例に上げますと、1反(300坪≒10a=1,000㎡)の年間の収穫量は近年では9俵弱(535㎏ 1俵=60㎏)ぐらいです。1俵は、近年の高いときであっても15,000円ぐらいなので1反の田から収穫できる米の値段は、135,000円ぐらいです。米だけで4人ぐらいの家族が生活するとすれば、10町程度(100反=30,000坪)の田が必要になります。それでも年間の収入は、13,500,000円、米からの所得は3分の1の450万円ぐらいです。この収入に加え現状では、農家に対して比較的手厚い補助金と補償が出ているので、10町の稲作農家であれば4人ぐらいの家族の安定した生活が成り立ちます。現状では、10町もの稲作を行う農家は少なく、多くは3〜5町程度です。稲作は田植え時期と収穫時期を除けばそれほど多くの労力を必要としないため、中規模の稲作農家は畑を兼業し年間の労働量を調整し、また収入を得ています。日本の農林水産業生産額は、およそ5.7兆円(令和4年度)です。国内総生産(GDP)が560兆円程度なので、その割合は、僅か1%です。しかし第2次産業(関連製造業)、第3次産業(流通・飲食業)などを加えた農業・食料関1.国の政策から見た今後の農業第8章 これからの農業の展開 1

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