英基
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12 読者のみなさんは,英文契約書は難しいという先入観をお持ちかもしれませんが,まずお話ししておきたいのは,この先入観は誤っているということです。なぜなら,英文契約書で覚えておくべき表現方法や用語は,みなさんが所属される業界に限定すればもっと少なくなりますが,全ての業種でせいぜい800前後に限定されているからです。したがって,これら英文契約書の基本表現800(一般条項を含む)をマスターしさえすれば,英文契約書をスムーズに理解することができます。本書では,これらの基本的な表現のほとんどを,一般条項を含んで網羅しており,効率よく英文契約書で使われる表現を習得できるようになっています。一般条項とは,あらゆる種類の英文契約書に必ず登場してくる,法務的・管理的な条項をいいます。たとえば,不可抗力条項,守秘義務条項,契約譲渡禁止条項,準拠法,裁判管轄,仲裁合意などの条項です。 次に重要なことは,日本語の契約書と英文契約書とでは,書かれている根本思想がまったく違うことです。まずは,性善説を前提に書かれている「日本語の契約書」の場合は,基本的な事項のみを契約書で合意するので,契約書はシンプルで短いものが多いのです。これは,合意されていない点がトラブルや争いになっても,同じ日本語で話し合いができるので,話し合えば何とか解決できると契約当事者が期待しているからでしょう。 それに対して,性悪説を前提に書かれている英文契約書は,条文の数も多く,各条文の文章も長く契約書全体のボリュームが大きいものが多いのです。そして,契約書の相手方は,契約を締結するときには良い顔をしているが,いざトラブルとなると相手方へ責任を押し付ける場合が多いのです。相手を信用できないので,契約書の中で問題となりそうな点をあらかじめ列挙しておき,それらに対する解決策を当事者間で合意しておくことが必要となります。もし解決1.英文契約書は難しいという先入観を捨て去ろう2.相手を疑うことが英文契約書の学習の第一歩基礎知識編英文契約書は怖くない

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