3策が合意されていないと,裁判で解決するしか方法がなくなります。英文契約書を締結する当事者は国際間契約のケースが多いので,訴訟をするにしても国際訴訟になってしまい,膨大な費用と時間が掛かることになります。反対に,解決策が合意されていると,裁判になっても,違法なことを合意していない限りは,契約書の合意事項は裁判所により尊重されます。そこで,当事者は裁判をやっても無駄だ,契約書の合意内容に従おうということになり,結果的に裁判を回避することができます。 英文契約書はなぜ難しい言葉で書かれているのでしょうか。これは争いが生じたときに漏れがないように合意されているかと極度の心配性である契約書の起草者がドラフトしているからです。漏れがないかどうか心配ですから,同じような単語を使用したり,同じような表現や規定をしつこく繰り返したりしていることはお分かりになるでしょう。契約書の条項は,法律の条文のように,あらゆるケースを網羅できるように,後から多くの単語や文章が挿入されてきます。また,法律用語は言葉の内容が定義されていますので,現代風の易しい表現に置き換えたいところですが,置き換えると意味が変わってしまうリスクがありますので,安易に置き換えができません。これらの諸事情が英文契約書を難しくしているのです。ただし,最初にお話ししたように,英文契約書で覚えておくべき表現方法や用語は,せいぜい800前後に限定されているので,これらをマスターすれば英文契約書をスムーズに理解することができます。3.英文契約書はなぜ難しい言葉で書かれているのか1.英文契約書は怖くない
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