7_借信
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 賃料不払いについて,最高裁(昭和43年6月21日第二小法廷判決・裁判集民91号441頁,判時529号46頁)は, 「被上告人が賃料の支払を拒絶するに至った事情に関する原審の事実認定は,原判決挙示の証拠関係に照らし首肯することができ,右認定判断の過程において,原判決には何らの違法も存しない。そして,右事実によるときは,右賃料不払の一事をもってはまだ賃貸借の基礎たる相互の信頼関係を破壊するものとはいい難く,これを理由に賃貸借契約を解除することは許されないとした原審の判断は,正当ということができる。」と判示し,賃料の不払いをもって信頼関係は破壊されていないとした。 そして,信頼関係が破壊されているかどうかの判断について,最高裁(昭和57年11月19日第二小法廷判決・裁判集民137号495頁)は, 「土地賃貸借関係における賃料不払の場合に,なお信頼関係を破壊するものとは認められない特段の事情があるかどうかの認定判断にあたっては,賃貸借期間の長短,賃料不払の程度,右不払に至った事情その他当該賃貸借関係における諸事情の一切を考慮すべき」と判示している。 以下は,賃料等の不払いや低額の賃料供託について,信頼関係の破壊や背信行為等を判断基準にして,契約の解除を肯定した判例と否定した判例である。も,その根抵当権が実行される危険性が高かったとは認めがたいこと,本件根抵当権1から5は(及びその後の本件根抵当権6も),いずれも実行(競売手続開始)すらされていないことなどに照らして考えると,本件根抵当権1から5の設定をもってしては,それが無断であったとしても,本件賃貸借契約の信頼関係を破壊するものではなく,原告の解除は認められないというべきである。」(1)解除を肯定した事例裁判例104賃料不払い(6か月分)と権利の濫用 「(五)控訴人らは,本件契約解除は信義則に違背し,あるいは権利の濫用であると主張するので,これを判断する。 引用にかかる原判決の説示するとおり,被控訴人Aは本件土地の隣接家屋に居住し,煙草等の販売を営んでおり,現実に本件地代の支払を担当した控訴人Bは被控訴人A方から月末払で煙草を購入している関係にあったが,被控訴人Aが一言の通知催告をしないで本件契約解除の意思表示をしたのである。右のような関係にあるとすれば,被控訴人Aとしては契約解除にあたり事前に一言の通知催告をするのが通常の場合には妥当であったともいえないでは東京高判昭和50年8月22日(‌金判482号7頁)(1)解除を肯定した事例 73第2賃料等不払い第2 賃料等不払い

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