7_借信
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 平成27年3月 簡易裁判所における調停事件や民事事件で,賃料不払いや近隣迷惑行為を理由に,賃料や建物明渡しを請求してくるものが結構あり,その訴状の請求原因に,賃貸人と賃借人の「信頼関係の破壊」を記載してくる例が少なからずある。 もちろん,「信頼関係の破壊」を請求原因の中に記載していない例も多くあるが,記載している訴状については,「信頼関係の破壊」の中味が関心事であり,これまでの判例において,借地・借家における債務不履行の内容がどうであるのか,無断転貸や無断譲渡,賃料不払い,無断増改築等のそれぞれの範疇で,実際には,どのように判断されているのかということである。 そして,昭和の時代から平成にかけて時代背景が変わる中で,どのように判断されてきているのかといったことが把握できれば,実務にとって大いに参考になるであろうと考えて本書を編んだ次第である。 本書は,理論的なキーワードを見つけるといった学究的なものでないことはもちろん,今後の基準になる指針を探求するといったものではないが,数多くの判例の中に,過去から現在に至る判断基準が少なからず示されている。今後,それが普遍的なものになるかどうかは判然としないが,まずは,多くの判例が示してきた足跡をみて,今後の和解や調停,不動産関係訴訟等の参考になれば幸いである。 最後に,本書の出版に当たっては,日本加除出版株式会社企画部の渡邊宏美さん,編集部の前田敏克さんに大変お世話になり,心から感謝申し上げる。は し が き  iは し が き伊 藤 秀 城

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