6人事訴訟以外の相続人の範囲に係る訴訟82第2章 相続人の範囲に係る訴訟16条において別表で訴えの種類に応じて17種類とされている。 この制度は,人事訴訟においては,実体的真実に基づく判決をするために,当該身分関係に最も密接な利害関係を有する者に限って当事者適格を認める(人訴12条)が,利害関係を有する第三者にも手続に参加することを認めることで,充実した審理及び訴訟追行を期待しようとするものである。 なお,通知を要するのは,訴訟記録上その利害関係人の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限られる。裁判所には,自ら進んで利害関係人を探し出す責任はないが,人事訴訟事件を提起する原告は,身分関係の当事者の戸籍謄本(戸籍事項証明書)のほかに,人事訴訟法15条1項に規定する利害関係人の有無並びにその氏名及び住所又は居所を明らかにするために必要な他の戸籍謄本その他の書類を添付しなければならない(人訴規13条)。ア 相続人の範囲に関する紛争が,その者と被相続人との一定の身分関係の存否や形成それ自体を直接目的とする人事訴訟事件ではなく,通常の財産権の帰属等を目的とする民事訴訟事件として争われることがある。例えば,①被相続人の死後,相続人が相続放棄の申述をしたが,相続債務の債権者から,その要件を充たしているか否かが争われて,相続債務の支払請求がされたり,②他の共同相続人等から,相続人に相続欠格事由があるか否かが争われて,相続権不存在確認・所有権移転登記抹消登記手続請求がされるなどした場合である。これらは,その者が被相続人と一定の身分関係(子や配偶者等)を有することを前提として,相続権の消滅事由である相続放棄の申述や相続欠格事由の存否及び効力等が争われる場合である。また,③相続人がその地位(相続分)を他に譲渡したような場合に,譲渡人がなお相続人の地位にあるか否か,譲受人が相続人の地位を取得したか否かという形で相続人の範囲に関する事件となることがある。これも,相続分の譲渡という法律行為の効力を問題
元のページ ../index.html#54