第3版実務相続関係訴訟
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83第1 相続人の範囲に係る訴訟(概説)とする訴訟であり,身分行為それ自体の効力に関する訴訟とは異なる。 さらに,④人事訴訟事件のうち,確認訴訟類型に属するものは,基本的には形成訴訟と解されていないことから,財産権の帰属等を目的とする訴訟において,攻撃防御方法として身分行為の存否が争われることがある。これに該当するものは,婚姻無効,協議離婚無効,実親子関係存否,養子縁組無効,協議離縁無効,養親子関係存否等である。例えば,被相続人の遺産である財産を被相続人の子として承継したと主張して,当該財産の所有権(共有持分権)確認訴訟を提起した場合に,被告が原告と被相続人との親子関係の存在を争うような場合である。イ こうした訴訟は,身分関係の存否又は形成を訴訟の対象とする人事訴訟事件ではなく,通常の民事訴訟事件ということになる。①から③については後述する(後記第3参照)。

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