第3版実務相続関係訴訟
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第21親子関係とこれに係る訴訟84第2章 相続人の範囲に係る訴訟 相続人の地位に係る身分行為の効力に関する訴訟に該当するものとしては,①被相続人との実親子関係の存否が争われる,親子関係存否確認の訴えや認知の訴え等,②被相続人との婚姻関係の存否が争われる,婚姻無効確認の訴えや離婚無効確認の訴え等,さらに③被相続人との縁組又は離縁の効力が争われる,(養子)縁組無効確認の訴えや離縁無効確認の訴え等の人事訴訟がある。 以下,上記の各訴訟について,順次解説する。⑴ 相続人の範囲について親子関係が争われる訴訟 実親子関係を争う訴訟には,①親子関係存否確認の訴えのほかに,②認知の訴え,③認知無効の訴え,④嫡出否認の訴え,⑤父を定める訴え等がある。ちなみに,①は,親子関係の不存在の確認を求めるものであれば,消極的確認訴訟となるが,親子関係が存在することを求めるものであれば,積極的確認訴訟となる。 これらは,いずれも身分関係の存否の確認又は形成を目的とするものであり,人事訴訟である(人訴2条)。それゆえ,確定判決は,当事者以外の第三者にも効力が及ぶ(対世的効力,人訴24条1項)。 相続人の範囲について親子関係が争われる訴訟に該当するのは,戸籍上,被相続人の子とされているが,実はそうではないとして争うもの(①,③,④)と,戸籍上,被相続人(父)の子とされていないが,被相続人(父)の子であるとして争うもの(①,②,⑤)とがある。なお,離婚後300日以内に出生した子について,嫡出否認の裁判を提訴しても出生届出義務は免れないとされているが,出生届出をせずに嫡出否認の裁相続人の地位に係る身分行為の効力に関する訴訟

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