第3版実務相続関係訴訟
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87第2 相続人の地位に係る身分行為の効力に関する訴訟子の場合は,親子関係を否定するには,嫡出否認の訴え(民774条,775条)によらなければならない(最一小判平成26年7月17日民集68巻6号547頁)が,非嫡出子の場合は,親子関係不存在確認の訴えでよい(最三小判平成12年3月14日裁判集民197号375頁)。 ところで,嫡出否認の訴えには法定の出訴期間(民777条)が定められているから,これを徒過すると訴えが不適法になり却下される。嫡出否認の出訴期間を徒過した場合には,戸籍上の父と子との父子関係は確立し,何人も父子関係の不存在を主張することができなくなる。それゆえ,推定される嫡出子に対する親子関係不存在確認の訴えを提起することもできない(最三小判平成12年3月14日裁判集民197号375頁,中川善之助・米倉明編『新版注釈民法親族⑶』235頁〔松倉耕作〕(有斐閣,2004年))。イ 推定されない嫡出子 嫡出子は,法律上正当な婚姻関係にある父母の間に生まれた子である。つまり,父母が婚姻関係にあり,しかも,母が父の子を懐胎し,出産した場合に,その子を嫡出子というのである。民法772条1項は,「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する」と規定しているが,これは,婚姻している夫婦の妻が懐胎した場合には,その子は,夫の子と推定され,その結果,その子が嫡出子となるということである。また,民法772条2項は,婚姻成立の日から200日経過後,又は婚姻解消若しくは取消しの日から300日以内に子が生まれた場合,その子は妻が婚姻中に懐胎したものと推定している。したがって,同条2項の要件を充たす子が嫡出子ということになる。 ところで,民法772条2項によれば,婚姻成立の日から200日経過前に生まれた子は嫡出子ではないことになる。しかし,我が国では,法律婚制度(民739条1項)が採られているため,男女(カップル)が同居して生活し,社会的には夫婦と認められていたとしても,婚姻届を提出しない限り,婚姻した夫婦ではないことになる。そのため,こうした関係(内縁関係)にある男女が妻の懐胎

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