第3版実務相続関係訴訟
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3第3版刊行に当たって 平成30年7月6日に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(平成30年法律第72号)は,社会の高齢化の進展や国民の権利意識の高まり等を踏まえ,民法第5編の「相続」に関する規定を改正するものであるが,新たに「配偶者の居住の権利」や「特別の寄与」に関する章が設けられたほか,遺産分割制度,遺言制度及び遺留分制度といった既存の制度についても大きな見直しがされており,その改正内容は多岐にわたっている。改正相続法のうち,その主要部分は令和元年(2019年)7月1日に施行され,自筆証書遺言の方式緩和については平成31年(2019年)1月13日から,配偶者居住権等の制度については,令和2年(2020年)4月1日からそれぞれ施行されている。 また,相続法改正と同日に成立した「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第73号)は,社会の高齢化の進展等や社会情勢の変化にかんがみ,相続をめぐる紛争を防止する観点から法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度を新たに設けたものである。遺言書保管制度は,令和2年(2020年)7月10日から施行される。 一方,民法のうち債権関係の分野についても,平成29年5月26日に成立した「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)により全般的な見直しが行われており,改正債権法は,一部を除き令和2年(2020年)4月1日から施行されている。 本書は,主として遺言書保管制度創設を含む上記相続関係の法改正を踏まえ,平成29年(2017年)3月に刊行した「補訂 実務相続関係訴訟」を改訂したもの(第3版)であるが,上記債権関係の法改正に関しても,必要に応じて適宜加筆修正を行っている。 今般の相続法改正及び遺言書保管制度の創設は,遺産相続をめぐる家事実務や遺言の実務に大きな影響を及ぼすばかりでなく,遺産分割の前提問題に係る民事訴訟等の実務にも大きな影響をもたらすものである。本書では,第1章,第1の1「遺産分割の意義と平成30年相続法改正」第3版刊行に当たって

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