テレビ
32/46

436【4】 最高裁昭和56年4月16日判決・判時1000号25頁、判タ440号47頁(月刊ペン事件・上告審)(10-8参考判例①参照) 要件の1つ目は公共性です。これは、報じる対象が公共の利害に関する事実であることをいいます。公共の利害に関する事実か否かは、放送の中で摘示された事実自体の内容・性質から客観的に判断されます【4】。 対象者が政治家などの公人の場合や、事件・事故に関する報道などについては、通常は、問題なく公共性が認められます。 また、個人の私生活に関する事実であっても、それが公人の評価に不可欠に結びついている場合のように、一定の場合には公共性が認められると考えられています。 要件の2つ目は公益目的です。具体的には、表現の目的が専もっぱら公益を図ることにあることを意味します。 なお、「専ら」とあるため、ともすれば、営利企業でもある民放の放送はこれに該当しないのではないかとも思われるかもしれません。しかし、実際には民放や新聞社・出版社などの営利企業による場合でも、もちろん公益目的は認められています。このとおり、「専ら」という言葉は、それほど厳格には捉えられていません。 要件の3つ目が、真実性と真実相当性です。真実性と真実相当性のどちらか一方でも認められれば、3つ目の要件も満たすことになります。 まず、真実性とは、報じた内容が真実であることを意味します。 次に、真実相当性とは、報じた内容が真実でないとしても、真実と信じたことについて相当の理由があることを意味します。 真実性も真実相当性も、報じた側、つまり放送局の側で立証しなければなりません。 ところで、真実性だけでなく、真実相当性でも良いとされているのには公共性公益目的真実性と真実相当性

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る