30 学校で事故が起きた場合に、 教員は民事上の法的責任として、 ①安全配慮義務違反に基づく責任 (契約責任・債務不履行責学校で事故が起きた場合、教員はどのような法的責任を負いますか。また、部活動中の事故も同様に考えるべきでしょうか。民事上の法的責任について、事故が起きた教育活動、時間帯、場所の特徴などから判断し、教員に過失と、損害との間の因果関係が認められる場合には、損害賠償責任を負います。ただし、公立学校の教員は原則として個人の法的責任を負わず、地方自治体が法的責任を負います。また、部活動中の事故については、部活動の法的位置づけや部活動顧問の労働時間なども考慮し、通常の学校事故とは異なる判断枠組みを考えるべきです。第1章 教育紛争の法的責任任とも呼ばれます) と、 ②不法行為責任の2つを負う可能性があります。①は「学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務」であると理解されます。 ただし、公立学校の場合は国家賠償法により、公務員である教員は原則として重大な過失がない限り個人の法的責任を負わず、地方自治体が法的責任を負います (国家賠償法1条)。一方で、私立学校教員は、個人の法的責任を負う可能性があり、一般的には私立学校の設置者である学校法人との共同不法行為責任を負います。なお、国立大学法人付属学校の教員に国家賠償法が適用されるかは争いがあります2。また、実務上は公立学校教員も国立大学法人の教員も、訴訟提起の段階では国家賠償法と民法の双方の法的責任を請求されることが多いです(最終的には公立学校教員の民法上の請求は、棄却ないし却下されます)。 (1) 国公私立によって異なる教員個人の法的責任解説教員の法的責任―学校事故の法的責任2
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