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33 例えば、学校教育法11条ただし書では体罰が禁止されていますが、これは「法令に基づいて当然に負うべき」とされる教員の注意義務なので、体罰を理由に損害賠償を請求する場合は①ではなく②が適切です9。また、いじめ防止法は、事実関係確認義務や調査報告義務など、教員に対して法令上の義務を課しており、従来のいじめ裁判では②ではなく①で主張されることが多かったこれらの義務違反は、同法によって「法令に基づいて当然に負うべき」義務となったため、今後は①による主張が適切とも考えられるでしょう。 なお、学校設置者の法的責任に関する安全配慮義務違反と不法行為責任の違いについては、後述Q6で説明します。第1章 教育紛争の法的責任(3) 学校事故における教員の過失①(予見可能性と結果回避義務) 判例や通説では、「学校の教育活動と密接な関係を有する活動」によって生じた事故であれば、教員は法的責任を負う可能性があると理解されており、判例はあらゆる活動、時間、場所の事故を「学校教育と密接関連する活動」に属すると広く捉えた上で、教員個人が当該事故を具体的に予見することが可能であったかどうかを検討して、法的責任の成否を判断しています。そのため、判例によれば、教員はあらゆる活動、時間、場所の事故において、法的責任を負う立場にあります10。 また、教員が法的責任を負う前提として「過失」が必要になりますが、過失とは、「結果や危険性を予見でき、かつ結果を回避できたにもかかわらず、その結果を回避する義務を怠ったこと」と一般的に解されており、「予見可能性」と「結果回避義務」の2つが主な要件として検討されます。 例えば、バレーボール部の練習時に生徒間のけんかが生じることは通常予見できないので、この場合は教員に予見可能性が認められず、法的責任は成立しません11。また、生徒が負傷した際に保護者に連絡せず、後日重篤な後遺症が発生したとしても、事故直後に一般的に見て外観上

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