i 本書が刊行されて3年近くが経ち、この度、改訂する運びになりました。 本書はおそらく日本で初めて「現役教師が書いた法律実務書」であり、「弁護士が書いた教育実践」です。実は、現役教師が書いた実務書というのはそれほど数が多いわけではありません。そのため、一般の人たちにとって、現役教師がどのような目線で仕事をしているのか、今の教育問題をどのように考えているか、といった点は正確には理解されていないのです。 また、 弁護士は 「子どもの人権を守る」 「保護者に毅然と対応する」 といった教育理念や教育規範には興味がありますが、教育実践にはほとんど関わる機会がありません。このことは、教師と弁護士を兼業する「学校内弁護士」が一向に増えていない現状が物語っています。つまり、弁護士が理念として考えていることを弁護士自身が教師として実践しているわけではないので、説得力に欠けるきらいがあります。 本書の改訂に際しては、そのような状況に鑑みて、筆者自身が現役教師であることや、弁護士の教育現場への助言が本当に的確かどうかといったことを意識しながら、いくつか新しい問題や対応策等を追加しつつ、全面改訂を行いました。 また、 拙著 『スクールロイヤー 学校現場の事例で学ぶ教育紛争実務Q&A170』 で提示したスクールロイヤーに関する議論や、現在進行中のスクールロイヤーの実施状況なども踏まえて、 「学校内弁護士」 が 「子どもの最善の利益」という理念を実現するスクールロイヤーとして最も理想的な形態であることも紹介しています。 教師になりたいと思う若い人たちが減っている中、教師が素晴らしい改訂にあたって改訂にあたって
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