虐法
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28第1章 子ども虐待対応実務において 虐待対応の中で,たびたび保護者から「子どもが将来悪いことをしないように叩いているのだから虐待じゃない。」と言われることがあります。 また,「けがしないように叩いている。」,「テレビで報道されるようなあんなひどい暴力は振るっていない。」などと言われることもあります。解  説きちんと整理せずに,児福法28条と民法上の親権制限の制度を一連の虐待対応の法的手段としたことに起因しているのではないかと考えます。 筆者が子どもの福祉に関わってからずっと,子ども虐待に対応するための法制度をきちんと整理すべきだと考えていましたが,この間たびたび法改正がありながら法的手段が体系的に整理されることはありませんでした。1 「児童虐待」該当性は子どもの安全安心を脅かすか否か⑴ 先述のとおり一般的に虐待というとむごいこと,ひどいことというイメージがあって,子どものための暴力は虐待ではないと考える方がいます。また,前記のように程度によっては虐待には当たらないと考える方もいます。 しかし,「児童虐待」が禁止されるのは,「児童虐待」が子どもの安全安心を脅かし,健全に成長するという子どもの権利(児福法1条)を侵害するからです(児童虐待防止法では,「児童虐待が児童の人権を著しく侵害し,その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与える」(同法1条)とされています。)。 児童虐待防止法上「児童虐待」として定義されている行為は,すなわち,子どもの安全安心を脅かし,健全に成長するという子どもの権利を侵害す「児童虐待」に当たる行為と虐待対応

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