虐法
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603終わりに〜児童相談所の現在と未来〜書でも触れられませんでした。結局,児童相談所が,前述のような二律背反状態を抱えながら,前記改正を進めるという方向性になりました。 児童相談所は,本来,相談(福祉)機関であるのに,積極的に強制的権限を行使することを要請され,福祉と対極に位置する警察との緊密な情報共有や警察官を配置することが推し進められるなど強権的機関に変貌している(少なくとも筆者にはそう見えます。)のにもかかわらず,児童相談所に相談機関として支援まで求めるのは酷ではないかと考えます。 やはり,児童相談所,市町村,警察の各機関にその特性に合わせて,それぞれ,措置や判定,福祉サービスを活用した家庭支援,強制的介入(強制的権限行使)というように役割分担をすべきではないかと強く思います。児童相談所等子ども虐待対応の現場では,今のままの児童相談所の体制や法制度では適切な対応は無理ではないかと思いながら業務遂行している児童相談所職員はいると思いますが,一部の現場を知らない有識者とされる方々の的外れとも思える考えによってそのような思いが現実の体制や法制度に反映されていないのが現状だと思います。 とはいえ,子ども福祉に精通する専門家のみなさんが様々な議論をして,結果として前記のような改正の方向性が良いものとされたのでしょうから,とりあえずこれを受け入れて,児童相談所は,この大改正の波を乗り越えて,子ども福祉のために現場で努めるしかないのかと思います。

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