虐法
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i3訂 はしがき 初版を出版してから6年,改訂を出版してから4年が経ちました。 今回,3訂の出版にあたって,改訂を読み返してみました。改訂の出版からこの間,親権者による体罰禁止,特別養子縁組制度の改正,2か月超えの一時保護の司法審査など子ども福祉に関わる様々な変化がありましたが,子ども虐待対応の現場における,虐待の内容,保護者への対応,関係機関との連携など,基本的な部分は初版からほとんど変わらないことに驚きました。初版出版のときですら,それまで現場では何年も変わらぬ対応をしていましたが,その後も,現場における基本的な子ども虐待対応は変わっていなかったのです。いかに法令改正がされようと,現場では同じような状況に置かれていたということだと思います。 とはいえ,先に述べた変化に伴った変更はありますので,初版,改訂と同様に,3訂においても,改訂出版後に行われた法令の改正に触れつつ,私見ながら改正法を含む法令等に関する問題点(例えば,特別養子適格の確認審判確定後の一時保護の継続,里親委託措置や親権との関係など)を指摘し,実務でも悩ましい点(児福法28条審判後の引き続いての一時保護の承認審判の要否など)についても多く記述しており,さらなる法改正がなされることを期待しています。 また,これまで初版,改訂ではあえて触れなかった論点又は筆者が知る限り他の文献では触れられたことのない論点(例えば,施設入所等措置に代えてすることのできる指定発達支援医療機関への委託の児福法28条審判による可否,児福法28条2項ただし書の更新承認審判に基づく措置の要否など)について十分に論じました。他の文献の解説にはない,かなり踏み込んだ記述になっていますので,これに対する様々な観点からの指摘は望むところです。 さらに,筆者が広く知っていただきたい事項(例えば,多くの死亡事例検証等への疑問,協同面接における子どもの権利保障,児福法27条1項2号措置後の一時保護の継続を認めた裁判例批評など)について思いのまま論じました。も3訂 はしがき

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