お墓にまつわる法律実務
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3 お墓を買うとはQA51 解説 現代では、夫婦墓、個人墓といった永代供養墓も増え、お墓の在り方は多様化していますが、ここでは、子孫に承継していくことを前提として墓石等を設置する従来からのお墓について説明いたします。1 墓地使用権 「墓地使用権」は法律の明文で定められているものではなく、したがって、法律上明確な定義は存しません。しかしながら、墓地が有するその特殊性から、墓地使用権の性質は次のように考えられます。すなわち、墓地の使用権は、墳墓を所有するために必要な権利であるところ、墳墓は墓埋法に基づいて都道府県知事等の許可を得た墓地内においてのみ設置できるものであることから容易に移動することはできず(固定性)、また、墳墓の所有権は相続人が断絶して無縁とならない限り、原則として永久的に承継され(永久性)、かつ、墳墓は死者に対する宗教的礼拝の対象となるべき特殊の財産であることから、墳墓を安置する土地の使用権である墓地使用権には固定性と永久性が生ずるものと解されます(津地判昭和38年6月21日下民14巻6号1183頁、福岡高判昭和59年6月18日判タ535号218頁、仙台高判平成7年11月27日判タ905号183頁等。裁判例の詳細は、巻末資料を参照)。 「お墓を買う」ということは、一般的には、①当該墳墓の敷地である墓地を使用することができるという「墓地の使用権」を取得すること、又はそれに加えて②「墓石の所有権」を購入することを意味します(納骨堂については本章Q6参照)。Q3.お墓を買うとは 「お墓を買う」といいますが、法律的にはどのようなことを意味するのでしょうか。

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