お墓にまつわる法律実務
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1 相続と祭祀承継QA160 解説1 祭祀承継(共同相続原則の例外) 民法では、被相続人の死亡により被相続人の一身専属権を除く全ての権利義務(財産)を相続人が承継する(民法896条)ことになっています。しかし、祭祀財産については、こうした相続の対象とならない(民法897条1項)とされています。 これは、祭祀財産が、共同相続つまり共有や分割相続に適せず、原則分割できないものと考えられているからです。祭祀財産を共同相続するとすればいつかは散逸してしまうおそれがあることや、普通の財産と同様に扱うことが国民感情や習俗にそぐわないと考えられたことから、共同相続の例外とされています。 遺言を作る際に、一般の財産について誰に相続させるという条項を決めるのであれば、祭祀承継者を誰に指定するかという条項も決めることが望ましいと思われます。 祭祀承継者とは、系譜、祭具及び墳墓などの祭祀財産を承継し管理する人です。そして、祭祀財産の権利承継者と祭祀主宰者は密接不可分の関係にあることから、祖先を祭る祭礼を行う祭祀主宰者に指定された人は、当然に、祭祀財産の承継者の地位につくとされています。祭祀承継者は、被相続人から祭祀主宰者に指定された人がなります。指定がない場合は、その地方の慣習によって、慣習も明らかでない場合は家庭裁判所の調停・審判で決められます。第5章 お墓と相続  祭祀承継者とは、何を承継し、どのような役割を果たす人なのでしょうか。また、どうやって決めるのでしょうか。

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