お墓にまつわる法律実務
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1 お墓は、亡くなった人の遺骨を安置する施設です。かつてお墓は、土地、家屋とともに長男が相続し、家とともに守っていく、というイメージが一般的にあったかと思います。現在では、先祖代々のお墓以外にも、納骨堂への収骨、樹木葬といったさまざまな形態の「お墓」が存在するようになりました。いずれの場合も、故人が安らかに眠る場所であり、故人を偲ぶ場所であるということは変わらないでしょう。普段はなかなか訪れずともお盆やお彼岸にお墓参りに行くことが習慣となっている方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。 日常生活であまり馴染みのないお墓の問題について検討するにあたり、本書では、まず人が亡くなったときにどのような手続をとるのか、というところから葬儀も含め、納骨までの一連の流れを分かりやすく解説しています。そして墓地の管理、遺言や祭祀承継など相続に関する問題について取り上げ、お墓にまつわるさまざまな問題や疑問について広く収録しました。 編著者である「特定非営利活動法人(NPO法人)遺言・相続リーガルネットワーク」は、遺言・相続問題、遺言信託、福祉信託、事業承継、渉外相続といった分野に関する研究・普及活動を行うことを目的として設立された組織です。高齢社会が進行する中で、お墓の管理ができなくなりお墓を処分するということも増えてきています。「墓じまい」に象徴されるように、お墓の在り方自体が問われるような時代となってきました。 今後、お墓に関する悩みはますます増えていくことでしょう。そのときに本書が多くの実務家にとって、また悩みを抱えた当事者にとってよい参考書となることを願います。 最後に、執筆者各位は当会を支えていただいている中心的なメンバーであり、ボランティア精神をもって本企画・執筆に取り組んでくれました。ここに記して謝意とさせていただきます。平成28年9月特定非営利活動法人 遺言・相続リーガルネットワーク理事長 松田 純一はしがきはしがき

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