お墓にまつわる法律実務
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2 祭祀承継者が決まらない場合QAQ2.祭祀承継者が決まらない場合165 解説1 祭祀承継者の決め方 民法では、祭祀承継者は、第1に被相続人の指定により、第2に被相続人の指定がない場合には慣習により、第3に慣習も明らかでない場合は家庭裁判所が定めることとされています(民法897条)。 被相続人の指定の形式には、制限がありません。遺言書による場合のほか、単なる書面による場合でも問題はなく、口頭であってもよいとされています。 また、被相続人の明示の指定がない場合でも、被相続人の黙示の指定があれば、その指定に従うことになります。 さらに、被相続人の指定がない場合には、慣習に従って、祭祀承継者が定められます。この慣習とは、戦前の旧民法の慣習を指すのではなく、新民法の施行後新たに育成されてきた慣習を意味するものと解されています(大阪高決昭和24年10月29日家月2巻2号15頁)。また、慣習とは、被相続人の最後の住所地の慣習のほか、被相続人の出身地の慣習、被相続人の職業の慣習を指す場合もあります。現在でも、長男が承継するということが多いかもしれませんが、末子が承継する慣習や家業を継いだ人が承継するという慣習があるとされることもあります。 さらに、相続人全員が協議して承継者を指定するということも一般に認められるのではないかと思われます。 祭祀承継者について、被相続人の指定や慣習がなく、相続人の間の話合いで決まらない場合には、家庭裁判所が指定することになります。 相続人の間で祭祀承継者が決まらない場合、どうやって決めたらいいでしょうか。

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