第11 はじめに2 LGBTとは,Lesbian(女性同性愛者),Gay(男性同性愛者),Bisexual(両性愛者),Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった略称である1)。1980年半ばころからLGBTという言葉が見られるようになり,GLBTやLGBTという言葉は,1990年代になってから一般化し始めた。その後,LGBTは当事者の間でも使われるようになり,セクシュアル・マイノリティや性的少数者という言い方と同様に,世界でも日本でも一般的に使用されている2)。このほかにも,男女のいずれでもないと自認する「エックス(X)ジェンダー」や,同性も異性も好きにならない「アセクシュアル」など多様な性も存在する3)。 LGBTという言葉は,性の多様性と性的アイデンティティの多元性を重くみるものであり,性的少数者と同義で使用されることも多いが,LGBTの方が比較的多く使われているかもしれない。最近では,LGBTも,生物学的な性(体の性)と性自認(心の性)と好きになる相手(恋愛対象・性的指向)な序章 総 論1)特定非営利活動法人ReBit編『LGBTってなんだろう?』1頁以下(合同出版,2014),薬師実芳「LGBTの子どもも過ごしやすい学校について考える」早稲田大学教育総合研究所監修『LGBT問題と教育現場』7-9頁(学文社,2015)参照。2)ロニー・アレキサンダーほか『セクシュアルマイノリティ(第3版)』3頁(明石書店,2012),谷口洋幸・齊藤笑美子・大島梨沙編著『性的マイノリティ判例解説』2頁(信山社,2011)参照。3)2015年5月26日付朝日新聞朝刊2頁参照。棚村 政行LGBTの法的保護とパートナーシップ制度
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