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2 日本における同性婚の可否と憲法第24条の議論4をもとに同性カップルには家族向けの区営住宅への入居を認めたり,病院での手術の際の同意書,事業者が認めれば家族手当の支給や育児介護休暇等も認められるようになる6)。その後,このような動きは,東京都世田谷区,三重県伊賀市,兵庫県宝塚市,沖縄県那覇市などと続き,これを検討する自治体が増加している7)。企業側でも,パナソニック,ソニーなどが育児・介護休暇や結婚祝いなどの福利厚生の対象にしたり,マイクロソフト,IBMなどの外資系会社でも,性的指向や性別の認識で差別をしないだけでなく,配偶者に準じた扱いを認め始めている8)。 そこで,本稿では,LGBTをめぐる最近の動きをみながら,まず,はじめに,日本における同性婚の可否や憲法第24条との関係での議論について取り上げる。次いで,アメリカにおけるドメスティック・パートナーシップ制度の発展と現状について概観をする。アメリカ法の展開状況は,日本にとっても参考になろう。第3に,このような比較法的な考察を踏まえたうえで,今度は日本における性同一性障害者の法的状況について一瞥する。第4に,LGBTと子どもをめぐる問題を取り上げ,主として,性的違和を感じ始める思春期の子どもたちや小さな子どもたちに対する差別や偏見,周囲の無理解などに対する心理的教育的支援の必要性について考える。最後に,各自治体で進んでいる同性パートナーシップ制度と企業や自治体でのLGBTの支援策について述べるとともに,今後の課題を展望したいと思う。 明治民法でも,現行民法でも,婚姻が男女の結合である旨の明文の規定は置かれていなかった。しかしながら,明治民法は,戸主中心の「家」を基軸とする封建的家父長制的な家族法を構想していた。婚姻は,あくまでも,男序章 総 論6)2015年4月1日付読売新聞朝刊38頁参照。7)2015年11月6日付朝日新聞朝刊29頁,2015年12月4日付朝日新聞朝刊(神戸)29頁,2016年3月10日付日本経済新聞夕刊15頁等参照。8)2016年2月19日付日本経済新聞朝刊15頁参照。

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