同パ
29/60

9)棚村政行「男女の在り方・男と女」ジュリ1126号25頁(1998)参照。10)棚村・前掲注9)論文25頁参照。11)宮沢俊義『憲法Ⅱ(新版)』430頁(有斐閣,1974)参照。12)我妻栄『親族法』14頁(有斐閣,1961),中川善之助『新訂親族法』160頁(青林書院新社,1965),星野英一『家族法』59頁(有斐閣,1994)等参照。13)佐賀家審平成11.1.7家月51巻6号71頁。系の縦に続く超世代的家族集団としての「家」の存続発展に仕える制度として位置づけられ,「家」という枠組み内での男女の終生的共同生活を想定していた9)。戦前の学説の中でも,婚姻は一男一女の結合であり,同性間の婚姻の合意は,婚姻の本質に反して無効であると明示的に言及するものもあった10)。 また,日本国憲法のもとで「婚姻は,両性の合意のみに基づいて成立」するとの規定もあり(憲法24条前段)、当事者たりうるのは男女であって,その自由な合意が要求されているとこれまでは理解されてきた11)。したがって,婚姻は社会的に夫婦と考えられる一男一女の終生にわたる精神的・肉体的結合であって,同性婚は,社会観念上婚姻的共同生活関係とは認められず,婚姻意思に欠け無効と解する立場,明文の規定はないが,婚姻の本質から婚姻障害の一つとして男女の結合でなければならないとし,同性婚を無効と解する立場が通説とされてきた12)。 例えば,フィリピン人とフィリピン国の方式により婚姻した日本人男性が婚姻届を日本で提出した後,フィリピン人が女性でなく男性であることが判明し,戸籍法第113条に基づいて戸籍訂正の許可を申し立てたという事例があった。このケースでは,婚姻の実質的成立要件は,法の適用に関する通則法第24条第1項(旧法例13条1項)により各当事者の本国法によるところ,日本法でも男性同士ないしは女性同士の同性婚は,男女間における婚姻的共同生活に入る意思,婚姻意思を欠く無効なものであり,フィリピン家族法でも婚姻の合意を欠く無効なものとされ,戸籍に錯誤ないし法律上許されない記載がなされたものとして,戸籍法第113条による訂正ができると判示されている13)。 これに対して,これらの通説に異論を唱える立場も主張され,生殖と子の第1 LGBTの法的保護とパートナーシップ制度5

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る