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 LGBTというのは,女性の同性愛者(Lesbian),男性の同性愛者(Gay),両性愛の者(Bisexual),トランスジェンダー(Transgender)の頭文字から作られた言葉であり,性的少数者の総称として用いられている。人の性は,体の性,心の性,恋愛の対象などで,多様なかたちが考えられ,端的に,セクシュアル・マイノリティという言い方もある。また,最近は,「性的指向と性自認」を意味するソギ(SOGI:Sexual Orientation, Gender Identity)といった新たなネーミングも登場している。LGBTを含めて,多様な使い方があり,本書では,執筆者の判断に委ね,特に用語を統一することは控えた。 2011年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクールのウィリアムズ研究所が発表したところでは,自分をレズビアン・ゲイ・バイセクシュアルと考える成人は3.5%,トランスジェンダーと考える成人は0.3%と推計された。日本では,2015年4月に,大手広告代理店の電通がインターネットで行ったアンケート調査の結果では,LGBTだと感じている人は7.6%にもなり,13人に1人にのぼることが明らかになった。2016年8月の当事者支援団体であるLGBT法連合会によるインターネット調査でも,8.0%がLGBTとの回答が得られた。また,2015年10月にNHKが同連合会の協力を得て行ったインターネットによる調査結果では,LGBTでストレスを感じたり悩んだりした末,健康に影響の出た人が4割にものぼった。20代から30代が7割で,パートナーがいる人も約45%もいた。同性パートナーの証明書を得たいと思う人も約82%もおり,同性婚を認める制度を作ってほしいと感じる人も7割近くいた。 国際的にみると,2015年6月には,アメリカ連邦最高裁判所が,婚姻を男女に限ると定めているオハイオ州,ケンタッキー州,ミシガン州,テネシー州の制定法が連邦憲法修正第14条のデュープロセス条項と平等条項に違反して無効であるという画期的な判決を言い渡した。これでアメリカ合衆国では,全ての州で同性婚が容認されることになった。2004年にマサチューセッツ州はしがきiはしがき

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