14)石川稔「同性愛者の婚姻②」法セミ356号60頁(1984),上野雅和『新版注釈民法(21)』179頁(有斐閣,1989),篠原光児「夫婦異性を考える」『イギリスの文学と社会的背景』109-110頁(北樹出版,1996)等。15)角田由紀子『性の法律学』212頁(有斐閣,1990)。16)二宮周平『事実婚の現代的課題』345頁(日本評論社,1991),棚村・前掲注9)論文17)大村敦志「性転換・同性愛と民法(下)」ジュリ1081号64-65頁(1995)参照。18)棚村政行「家族的パートナーシップ制度」青山法学論集33巻3・4号125頁(1992)。なお,渡邉泰彦「同性カップルによる婚姻から家族形成へ」法時88巻5号73頁以下(2016),二宮周平「家族法─同性婚への道のりと課題」三成美保編著『同性愛をめぐる歴史と法』122頁以下(明石書店,2015)参照。6養育を主要な目的とする伝統的婚姻観が変化し,同性カップルにも婚姻を認めてもよいのではないか,憲法第24条の両性とは同性者も含めて考えられるのではないかと反論する14)。むしろ,憲法第13条,第14条,第24条を積極的に理解し,同性愛者の婚姻を認めていこうとする立場15),同性パートナーに法的保護を与えても全ての人が同性をパートナーとして選ぶわけではなく,種の再生産を崩壊させるほど多数にならないとして,私生活や家庭生活の自己決定権という憲法上の権利の保障という観点から,準婚的保護を与えるという立場も有力である16)。 これらの積極的な立場に対し,異性カップルの共同生活関係に対しては内縁としての保護を与えることはある程度まで可能であるとしても,同性カップルは婚姻から外れた共同生活関係であり,不適法内縁だから内縁としての保護もありえないとの再反論もあった17)。しかしながら,現在では20か国以上が同性カップルに婚姻を認めたり,パートナーシップの登録制度を認めるところが30か国以上と着実に増えてきている。また,日本でも,婚姻の主要な目的は必ずしも子の出産・生殖ではなく,夫婦的な相互扶助にあるわけだから,事実上の夫婦としての同性カップルには,一定の要件のもとで,婚姻に準ずる法的保護をすべきであろう。また,家族の多様化やライフスタイルの自由などの最近の傾向からも,同性婚やパートナーシップ制度を導入すべきであろう18)。 安倍晋三首相は,2015年2月の参議院本会議で,同性婚と憲法第24条との序章 総 論25頁。
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