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43)2014年7月18日付週刊朝日114頁以下参照。44)南野知惠子監修『【解説】性同一性障害者性別取扱特例法』2頁以下参照(日本加除出版,2004)。45)最高裁判所事務総局編『平成26年司法統計年報3家事編』7頁(法曹会,2015),一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会「性同一性障害特例法による性別の取扱いの変更数調査」(https://gid.jp/html/GID_law/index.html)によると,2015年末で性別変更をした者は6000名を超えるという。あるし,カードを作ろうとしても本人確認で引っかかる。2人の子どもからは特に何も聞いてこないし,自分からも説明しづらい状況だという43)。 2003年7月には,性同一性障害で苦しむ人たちのために,①20歳以上の成年者であること,②現に婚姻していないこと,③現に子がいないこと(2007年の改正で,未成年の子),④生殖腺がないこと,又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること,⑤身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項1~5号(以下,特例法という))を要件として,医師2名の診断書があれば,家庭裁判所に性別変更の審判の申立てをして戸籍上の性別の変更が認められることとなった44)。しかし,前述のAさんの場合には,かりに,性別適合手術を受けたとしても,現に婚姻しているため離婚しなければならず,未成年の子がいる場合も申立てができない。性別変更の申立ては,2004年に130件が申立てられ,そのうち97件が認容された。2012年742件,2013年786件,2014年831件と,最近は約800件の申立てがあり,そのうち要件に欠けるとか,書類に不備がない限り,9割以上が認容されている。2015年3月末で6021人が性別変更手続を利用したことになる45)。 性同一性障害で女性から男性への性別変更の審判を受けた者は,民法その他の法令の適用については,別段の定めがない限り,変更された性別とみなすという規定がある(特例法4条1項)。そこで,その者は審判確定後は,婚姻もできるし,養子縁組をすることもできる。しかしながら,特例法で性別変更をして婚姻し,その妻が第三者からの精子提供を受けて非配偶者間人工授精(AID)を受けて婚姻中に懐胎し出生した子は,民法第772条以下での嫡出推定規定が適用され,その夫が父とされるのか,それとも,妻の婚姻外第1 LGBTの法的保護とパートナーシップ制度15

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