5 LGBTと子どもたちの問題50)2015年11月14日付読売新聞朝刊37頁。このほか,様々な不利益については,棚村・前掲注48)論文295頁参照。51)東京地決平成14.6.20労判830号13頁。で容姿を女性に変え,女性用トイレの使用が認められた。しかし,使用場所を職場から2階以上離れたトイレに制限されたうえ,2011年には,上司から性別適合手術を受けて戸籍上も女性にならない限り異動させないと言われた。さらには,手術をしないなら障害を明らかにしなければ,女性トイレの使用も認めないと言われ,Cさんも国の職場での差別解消を求めて裁判に踏み切ったという50)。 なお,会社で,性同一性障害で戸籍上は男性であるものの,女性の服装や容姿をして出勤しないよう命じられた業務命令違反,配転命令拒否,社用パソコンを使用して開設したホームページでの誹謗中傷などにより,会社から懲戒解雇処分を受けたDさんが解雇は無効と争った事件もあった。東京地裁は,服務命令に違反して女性の容姿で出勤したのは就業規則所定の懲戒事由に当たるが,会社側にもDさんの性同一性障害の事情を理解し,その意向を反映させようとする姿勢に欠けたこと,女性の容姿での就労を認めることが企業秩序又は業務遂行に著しい支障を来すとの事情が説明されておらず,懲戒解雇は権利濫用で認められないと判示した51)。 イギリスのノース・ヨークシャー地域で,約2万人の児童・生徒を対象に学校現場でLGBT調査が実施された。その結果,15%の子どもたちがLGBTであると回答し,そのうち41%の10代のLGBTの子どもたちがいじめを経験し,女の子では54%が自傷行為を行っていることが明らかになった。この調査で,若い人たちが幼いころから自分のセクシュアリティについて悩み,また周囲からのいじめや嫌がらせなどで,心に大きな傷や痛手を負っていること,助けを求めて学校の先生に相談しても冷淡な態度をとられたり,むしろ第1 LGBTの法的保護とパートナーシップ制度17
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