同パ
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52)http://life.letibee.com/news/north-yorkshire-lgbt-youth/(2015/11/23)53)http://www.pinknews.co.uk/2015/11/20/new-council-report-claims-half-of-lgbt 54)47NEWS「半数以上が自殺願望 小学校入学前に違和感 性同一性障害の子どもたち」(http://www.47news.jp/feature/medical/2011/01/post-489.html(2011/01/25))55)NHK「クローズアップ現代『子どもの性同一性障害 ~揺れる教育現場~』」(http://さらに孤立感や無力感を強めたことなどが明らかになった52)。多くのLGBTの子らが学校にいる時間は,敵視されたり,疎外感を強め,蔑まれ,転校を余儀なくされるなど深刻な被害を経験していた。LGBTに対する学校でのいじめや暴力を避けるために,自分のことを打ち明けることすらできない53)。 日本でも,心と体の性に悩む性同一性障害の男の子を,埼玉の小学校が女の子として受け入れたことをきっかけに,文部科学省は,2010年3月に,性同一性障害の児童・生徒に対する相談の対応の徹底や医療機関との連携を求める通知を出すとともに,2015年3月には,全国の教育委員会に対して通知を出し,性的マイノリティへの配慮を促した。岡山大学病院ジェンダークリニックの中塚幹也教授らによる,1999年から2010年の間に同クリニックを受診した成人を含む性同一性障害の患者1167人を対象とした調査によると,自分の体の性に違和感を覚え始める時期は中学校卒業までが90%,FTMに限ると小学校入学前が70%に達した。半数強が物心がつく前に違和感を抱いていた。違和感や悩みの具体的な内容は,FTMでは,外性器がないことや月経,乳房発育などの二次性徴に関しての悩みが多く,MTFでは,髭が生えるのが嫌だとか,誰にも理解してもらえない辛さが多かったという。患者約1150人の分析結果では,自殺しようと考えたのが59%,自傷や自殺未遂が28%,不登校になった子どもが29%もいた。また,人間関係が原因とみられるうつ状態や神経症などの精神科の合併症も,MTFには4人に1人見られた54)。つまり,違和感を抱いていても,小学生くらいまでは,9割の子どもたちが言葉で言い表せずに1人でじっと悩み続け,自己嫌悪や周りの目に対する恐怖感などから,自分に自信がもてずにいる。自殺したい,自殺未遂をする等は6割,不登校も3割と高く,時期的には思春期を迎える中学生くらいが一番に苦しい時期となっている55)。序章 総 論-school-girls-have-self-harmed/(2015/11/20)18

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