同パ
43/60

 また,同性のパートナーシップ制度や同性婚を認めるか否かで,論争になってきたのが,同性婚の公認は,子どもたちの健全な成長発達に悪影響を及ぼすという,根強い批判であった。例えば,アメリカでも,同性カップルが子どもをもつ場合には,体外受精や代理懐胎など生殖補助医療を使って子をもうけることになるが,子どもたちは実親について知りたがり実親を強く求めること,レズビアンカップルでは父親がおらず,父親の存在が娘の健全な発達にとって大切であり,男性の見方や男性からの性的誘い掛けに抵抗する免疫ともなること,ゲイカップルでは母親の存在が欠けて,子どもの情緒的安定や性別役割モデルを身近にもてず,健全な成長発達に悪影響を及ぼすという見解も表明されている56)。これに対して,子どもの健全な成長のためには,大人や周りの提供する養育環境もあるが,子の自尊感情や家族の中で愛されていること,困難や挫折に対する子どもの対処する能力,子の一般的又は創造的な問題への関心,子どものジェンダーへの柔軟性なども重要であり,ひとり親,レズビアンの親,ゲイの親も,愛情ある親としての適格性に欠けるものではなく,子どもも,同性カップルに育てられた場合に,なんら問題もなく順調に育っているとの反論もある57)。 2013年10月,オーストラリアでも,同性婚が認められ,2016年現在,3万組の同性婚カップルがいると言われている。オーストラリアのメルボルン大学の研究者らが315組の同性カップルに対する500人の子どもたちの調査をした結果,子どもたちの健康状態,家族の絆の強さ,幸福度などをポイント化して,異性カップルの子どもたちの平均ポイントと比較したところ,むしろ同性カップルの子どもたちのほうが6%もポイントが高いという結果になった。研究チームは,男は仕事,女は家庭という伝統的な性別役割分業にとらわれず,ワークライフバランスを重視し,自由で平等な環境の中で子どもたwww.nhk.or.jp/gendai/articles/3591/index.html)56)See Family Research Council, Ten Arguments From Social Science Against Same-Sex Marriage(http://fre.org/get.cfm?i=if04g01).57)See Baehr v. Anderson, Hawaii Court Finding Judge Kevin S.C. Chang, Filed in the First Circuit Court, State of Hawaii 1996(http://www.buddybuddy.com/finding1.html).第1 LGBTの法的保護とパートナーシップ制度19

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る