7 おわりに72)日本IBM「同性パートナー登録制度を新設し人事プログラムを拡大」(http://www-06.ibm.com/jp/press/2015/11/3001.html(2015/11/30))73)CSR東洋経済ブログ「2016年版LGBTへの対応・基本方針「あり」173社を紹介します」(http://csrblog.toyokeizai.net/csr/2016/01/2016lgbt173-dea7.html(2016/01/04))74)安藤光展「LGBTに対応する企業200事例と調査データ5事例(2016)」(http://an-domitsunobu.net/?p=11916)性パートナーで,登録パートナーとの結婚や出産などの特別有給休暇や育児・介護休暇,慶弔見舞などが提供される72)。 東洋経済社が行うCSR調査では,LGBTに対する基本方針(権利の尊重や差別の禁止など)の有無について「あり」と答えたのは,2014年の114社から,2016年には173社,LGBTへの取組についても「あり」は,2014年の80社から,2016年の146社へと大幅に増加した73)。LGBTと企業との関係でいうと,ここ数年で,LGBTに対する企業の積極的な取組が活発化し,野村ホールディングス,資生堂,ソニーなどの大手日本企業でも,LGBT研修が進み,日本IBMのように社内で,新たに同性パートナー登録制度を設けたところもでてきた。企業にとっても,男女共同参画の推進やダイバーシティの実現は,社員の個人的能力の開発や職場環境の改善だけでなく,企業全体のイノベーションや企業イメージの向上にもつながり,前向きに取り組むところが顕著に増加している74)。 このように,日本でも,渋谷区や世田谷区などの各地の市民に最も身近な基礎自治体で,LGBTへの差別や偏見をなくすような啓発教育活動が進み,職員研修,当事者による講演会の開催,LGBTへの相談窓口の設置,福利厚生,権利拡大への動きが加速化している。しかしながら,他方で,LGBTの人々が職場や日常生活の場面でも,完全に受け入れられることは少なく,様々な差別と偏見,人権侵害にさらされ続けていることも紛れもない事実である。また,法律上,夫婦や家族としての権利が平等に保障されているわけでもない。さらに,LGBTの大人への対応だけでなく,子どもたちへの心理第1 LGBTの法的保護とパートナーシップ制度23
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